今だから話せる第二回演奏会印刷物秘話

目次
第一幕 マエストーソ
第二幕 ポコ ピウ モッソ
第三幕 アレグロ
第四幕 マーチテンポ
第五幕 ラルゴ
第六幕 グランディオーソ

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第一幕 マエストーソ

第二回の印刷物コンセプトとしてAは「たのしい」を設定することにした。何となく楽しさが
伝わるようなデザインにしようと決めた。我がウインドは他の市民吹奏楽団に比べ
音楽技術は劣るが、団内の「たのしさ」だけは負けないと思ったからだ。
コンクールに出て金賞を取ろうとか、他の楽団よりも立派な演奏会をしようとか、
そういった「金や名誉」よりも、いかに一杯のビールを美味しく頂くかが重要だというバンドは、
そうなかなかあるものではない。
そこを全面に打ち出さずしてどうする!と言うことで制作に取りかかる。
まず始めにポスターとチラシのデザインを検討する。パンフレットは最悪本番一週間前に
刷り上がれば良かろうという楽天的な予定の元先送りされる。
前回の演奏会ポスターではいかにもCGっぽいイラストを使ったので、今回はイメージ一新、
写真を用いる。しかし、だ。
ステージで演奏している写真の上に明朝体で「定期演奏会」と描かれたポスターは
これまで何度も見てきた。いや、見飽きていた!
そんなありきたりなもので我らがウインドの本質を表現できるのか!!できるはずがない!!
そうだ、普通ではいけないのだ!!
と、個人的に盛り上がりながら案を煮詰める。そんなときふと脳裏を過ぎるものがあった。
「ヨーダ……」

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第二幕 ポコ ピウ モッソ

どこかのお店で見たスターウォーズのポスターだ。一センチ角くらいのちゃっちゃな
スクリーンショットが沢山集まって、遠くから見るとヨーダの顔に見えるというものだった。
一度そう言うものをやってみたいなと思っていたAは、これを機会にチャレンジしてみる
ことにした。
早速デジカメを持って練習場所へ。その場にいた人たちをパシャリパシャリと撮りまくる。
おうちに帰って思わずショボ〜ン。「全部、ぶれてるやん」……
その後デジカメで写真を撮るときのコツを人づてに教えて貰う。
「取る瞬間に息を止めるといいよ」それからは失敗しなくなりました。
そうして集まった写真百点余りを一枚ずつ貼り込んでいく。白っぽい所、黒っぽい所、
はじっこだけ黒い奴、右半分白い奴、苦心の末画像は完成する。
しかし、データの重さに「ぱそ子さん」が堪えきれず、その後の作業が進まなくなる。
ファイルを開くだけで十分、文字をちょっと修正するだけで更に五分、
終いには「メモリ不足のため保存できません」とワガママを言い出す始末。
「家電のくせに」と文句を言ったのがいけなかったのか、そのうちファイルどころか
ソフト自体が起動しなくなる。
「こんちくしょう」と思う心を誤魔化し誤魔化し、「ごめんね、ぱそ子ちゃん☆」と謝ってみた。
するとどうだ!「しかたないわね」と言わんばかりにあっさり起ち上がった。
「人間様を馬鹿にしおって!所詮お前はインテルの商品よ(しかも友人からの貰い物)!」
張り切って作業を再開して十分、「ぱそ子さん」は何も言わずに落ちました。

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第三幕 アレグロ

何とかできあがったデータを持って出力するためにキン○ーズに向かう。
初めてのご利用に胸が高鳴った。しかし、店員の態度は悪いわ、
イラストレーター8がWINに入ってないわ、文字化けするわで、散々な目に遭う。
こんなこと引き受けるんじゃなかったと後悔の念に苛まれながらカンプを提出。
演奏会広報係の皆さんにはなかなかの評判だったので、これまでの苦労も報われた気がした。
そこでもう一つワガママを言ってみることにする。「ポスター、二色刷りにしましょう」
一見無謀に思えたこの申し出は、しかしあっさりと賛成多数で可決される。
調子に乗ったAは更に「思い切って120枚くらい刷っちゃいましょう!」と要求。
翌々週、予算を遙かにオーバーした見積書が広報係長のKさんを悩ませたのは
言うまでもない。

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第四幕 マーチテンポ

ポスターが一段落し、それまでほったらかしていたチラシとチケットの作業に取りかかった。
こっちも写真を使うつもりでいたが思っていたより受けが悪く、仕方がないので文字組だけの
シンプルなものにする。「たのしさ」を出すためと、子供受けを狙って、丸っこいフォントと
星を使う。紙の色も柔らかいピンク色にする。チケットも同系色でまとめた。
これでもぅ、オッケイ!早速印刷だわ、思っていたらチケットの裏面に入る広告主の
オッケイ待ちで結局刷り上がりは、またも延びてしまったのだった。

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第五幕 ラルゴ

それまで考えないようにしていたパンフレット原稿に、やっと手をつける気になる。
団長に原稿のチェックと挨拶文を書くように頼んで自分はレイアウトを考える。
前回何かと派手にしすぎたため、今回は見やすさを重視することにした。
空きスペースができたら簡単なイラストでも描こうか、と思っていたが空きスペースどころか、
原稿が入りきらずに困った。もちろん、全て団長のせいにした。
次に、パート紹介のページをまとめにかかる。
原稿を早く出したパートから好きな場所を選んで貰い配置。
写真合成などの依頼もあったので、実は結構たいへんだった。
そんな折り、ベース担当のYさんが「俺も入れてよ」と言い出したので、
パーカッションのパートにさりげに入れる。
それまでベースの存在をすっかり忘れていたことは、今となってはいい思い出だ。
さて、これでこちらのページは完成した。
あとはスポンサーの広告ページだ。印刷をしてくれる会社にお勤めのKさんと
半分こしてレイアウトする。しかしここでまたも問題発生!
初めに配っていた広告枠の大きさと、実際に掲載する枠の大きさが若干異なっていたのだ。
と言っても既にできあがってしまっている広告をどうこうする訳にはいかないので、
中央に配置したり、スペースを空けたりしてそれっぽくする。
「やっぱり人生において、開き直りと誤魔化しは重要だな」と実感した。

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第六幕 グランディオーソ

いよいよポスターが刷り上がった。一番最初に見るのは私、と決めていたので
Kさんが持ってきた紙束を思わず奪い取る。包みを開くと刷りたてのインクのいい匂いがした。
ディスプレイ上のイメージ通りに、記念すべき第二回演奏会ポスターはよそでは見かけない
「たのしさ」を放っていた(ように少なくともAの目には映った)。まったく、この瞬間のために
生きてるって感じがする。じんわりと浸みてきて、ちょっとだけ泣きそうになった。

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